中村倫也を語りたい

中村倫也ファンによる中村倫也ファンのためのファンブログ。倫也さんのことを中心に書いてく予定。予定は未定。

ドラマ「石子と羽男」第7話感想文【“期待しすぎない“の言葉の裏には】

こんにちは!第7話!また物語のギアが変わって、最終回に向けて動いていくんだな、と思える回でした。そして石子の過去に辛くなる回でもありましたね。
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まずはドラマの概要から。

【出演者】
石田硝子(石子)/有村架純
羽根岡佳男(羽男)/中村倫也

大庭蒼生/赤楚衛二
潮綿郎/さだまさし
塩崎啓介/おいでやす小田


【主題歌】
RADWIMPS
「人間ごっこ

第6話の感想はこちら。
seeen-tomoya.hatenablog.com

さて、本題に入ります。
本日は以下の3つのテーマについて書いていきます。

  1. 傘というアイテム
  2. 分岐点
  3. “期待しすぎない“の言葉の裏には


1.傘というアイテム

小林星蘭さん演じる美冬の父親を、野間口徹さんが演じていました。
美冬は日常的に父親に暴力を振るわれていて、そこから逃げ出すために家出をし、「山ヨコ」にたどり着いたという経緯でした。

石子と羽男の二人がキッチンカーの事件を調べる中で、父親との関係性ができることを見出し、美冬に対する暴力の事実を明らかにするべく父親に会いに行く。

この時、雨が降っていないにも関わらず、父親は黒い傘を差しながら帰宅する。羽男も「あれ?雨降ってないよな」という感じで空を見上げていましたが、これには何かしらの意図があるのだろうか。

傘はこのドラマの大事なアイテム。潮法律事務所のモットーは「真面目に生きる人々の暮らしを守る傘となろう」だからです。

羽男が調べた父親の性格は、真面目な良い人という評価の一方で、行きつけの飲食店での評価は典型的な強いものに弱く、弱いものには強く当たるというタイプ。
真面目という“傘“を被って、自分を保つために裏では弱いものを虐げる。父親はそんな人物として描かれたのだろうと思います。

父親の性格が一方では真面目という評価もあることから、潮法律事務所の言う「真面目に生きる人」の傘となることは、難しいことであることがわかります。

さらに、法律にもさまざまな傘がある、と7話では語られていました。
例えば「推定無罪」「未成年者」は、法律で定められている、傘の一つではないかと思うからです。
でもこれら、法律の傘があったとしても、守られない人たちがどこかに必ず存在するし、逆に悪人も守られてしまう。これがこのドラマで描きたいことの一つなんだな、と改めて感じる回でした。

2.分岐点

こちらは新井×塚原コンビが手がけたドラマ「MIU404」の第3話のタイトル。
タイムラインでもそういった感想が多く見受けられましたが、石子と羽男の第7話は、だいぶMIU味の強い回だったな、と感じました。

MIU404の第3話は虚偽通報をする高校生を主人公としていました。
犯罪行為に手を染めてしまう未成年をどう守っていくのか、麻生久美子さん演じる桔梗隊長は語ります。しかし岡田健史さん改め、水上恒司さん演じる九重は未成年だからといって、傘に守られる犯人たちに納得がいかない。
一方で星野源さん演じる志麻は、ルーブ・ゴールドバーグ・マシン(ピタゴラ的装置)の話を九重にします。以下にその時の志麻のセリフを引用します。

人によって障害物の数は違う。正しい道に戻れる人もいれば、取り返しがつかなくなる人もいる。誰に出会うか、出会わないか。この人の行く先を変えるスイッチは何か。その時が来るまで誰にも分からない。


石子と羽男の話に戻ると、石子のスイッチは交通事故の現場を目撃したことでした。初めての司法試験に向かう途中、目の前で交通事故を目撃し、その血が石子の足元にまで飛び散る。石子は被害者でも加害者でもない。でもその経験と司法試験が結びついてしまい、以降4回も試験に落ち続けてしまう。
石子がなぜ試験に受からないのかがようやく明かされました。

誰に、何に、出会うか、出会わないか。

前回のブログで、石子は前に進むことができない、と書きましたが、横断歩道を渡る前に事故を目撃したから前に進めず渡れないんだ、ということがかかっていたのだな、と感嘆しました。
以前までの石子はもう何かと出会ってしまいたくはなかったのだろうと思います。だから一歩を踏み出すことが重かった。でも少しずつ変わり始めていた石子は、7話でのひなと美冬たちとの出会いをきっかけとして、出会いを大切にして、自分が誰かの良いスイッチとなるように動き始める。

石子の変化、とても良かったですね。


3.“期待しすぎない“の言葉の裏には

これは先ほど書いた、石子が目撃した交通事故の告白を聞いた、羽男が口にした言葉でした。

石子は人生は些細なことで変わると思うんです、と言うけれども、それに対して羽男はそれを大袈裟だと言う。
その言葉をきっかけとして、石子は自分の交通事故のトラウマを話し始める。話し終えた時に、石子は羽男に対して、「わかってくれる?」と期待した顔をしていたように見えたけれど、羽男はそれでも「俺は期待しすぎない」と答える。
石子はこの羽男の言葉に対して、がっかりした顔をするものの、それ以上は追求しない。
二人のこの距離感が、このドラマの大好きポイントの一つでもあります。

さて、3話のブログで羽男の家族のことを書きました。フォトグラフィックメモリーという能力と、司法一家という環境から、羽男は周りからの期待を一身に受けて育ったのだろうと。
でも羽男は期待に応えることができなかった。羽男にとって「期待」という言葉はかなり重く響くのでしょう。
今回の事務所での会話でも羽男は似たようなことを言っていましたし、羽男は弁護士になってからの数年間でも何かしらそう思わざるをえない経験をしてきた、ということなのでしょう。

ここまでもブランディングという鎧を外して、羽男は変化しましたが、最終回にかけて、もう一段階変化がありそうですね。楽しみです!



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〜〜あとがき的なやつ〜〜

事故の現場を目撃して、しゃがみこんでしまった石子に向ける視線や、病院でどしたって聞く聞き方とか、今回も羽男の優しさに溢れる回でしたね。どうやったらあんなに優しい表情や声ができるのでしょうか。好きです。はい、好きです。

あと残り3話なんですねーー。終わるのが嫌すぎる。