中村倫也を語りたい

中村倫也ファンによる中村倫也ファンのためのファンブログ。倫也さんのことを中心に書いてく予定。予定は未定。

舞台「狐晴明九尾狩」感想文【晴明×利風×パイの3人について考える】※ネタバレ有

こんにちは!
本日は中村倫也さん主演舞台「狐晴明九尾狩」の感想文を書きます。今回で2回目の感想文です。笑
前回は東京公演を2回観ての感想、今回はそこからさらに大阪公演を2回観たのでその時に感じたことを付け加えて第2弾として書きます。


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今回、大阪には2泊3日で行って、1、2日目で2公演見て、3日目はドフリーだったので、せっかくなので京都に足を伸ばして、晴明神社に行って参りました。芸能人のサイン入り絵馬?もたくさん飾られてたけど、こういうの倫也さんはやらんのかな、と思いつつ、なんかやらなそうだよなって思いました。笑 公演前に役作りとかで来たりしたのかなー?


さて、本日は

舞台「狐晴明九尾狩」感想文【晴明×利風×パイの3人について考える】※ネタバレ有

です。

なぜ、2回目の感想文を書くことにしたか、と言いますと、観劇翌日のこちらのふせったーにも書いたのですが、なんか最後の倫也さんの演技にすごくわからされた、というか。

これから書くことに対して4回目にして今更かよ、というご意見もあろうかとは存じますが、温かい目で読んでいただければ、これ幸いでございます。。。

ついでに3回目の観劇のふせったーもリンク貼っておきます。


はい。次の3点について本日は書いて参ります。

  1. 感情が壊れる演出
  2. パイ=利風がしたかったこととは
  3. 最後の晴明のセリフPart2


見てわかるように、ほとんどラストのことばかりですね。笑
前回の感想文のリンクもこちらに貼っておきます。全体の話であればこちらを先に読まれることをお勧めいたします。

seeen-tomoya.hatenablog.com



1.感情が壊れる演出

先ほどリンクを貼ったふせったーにもざっくりと書いたのですが、4回目にしてこのことに私はやっと気づいたので、改めてここにも抜き出して書きますね。笑

晴明が賀茂銭を集めて作った剣でパイを刺し、利風が出てきて最期の会話をしたのち、最後のあがきで晴明の感情を奪うパイ。(感情をどうして奪ったのかについては次で書く)
その後晴明はどうにか最後の力を振り絞って、パイにとどめを刺して、ごぉーー(?)っていう音とともにパイが消えていくんだけど、その時パリーンってガラスか何かが割れる音もしていた、のが初めて聞こえたんです。そして晴明がその音に合わせて、ガクっと体勢を崩す演技をするんです。

つまり、ここで改めて実感されたことは晴明の感情がなくなったのは、パイに奪われた時ではなくて、あのパリーンって音がした時だということ。

ていうか、なんで私はこんなに大事な演出にその前の3回で気づいていなかったのだろうか、と思うと同時に4回目のラスト観劇でこれに気づけて本当によかったと思います。これから見る人はぜひ注意深く聞いていただければと思います。


晴明がこの賀茂銭の剣を使った後、力が奪われたかのように息を切らして疲労困憊するところや、それでもなお力を振り絞って戦う必死な表情など、倫也さんが終盤に一気に畳み掛けて私たち観客を追い立てる演技が本当に好きです。そしてこのパリーンの後、振り向いたら感情を無くしている晴明もめちゃくちゃ好き。
特に私的4回目のこの日は何だかこの辺りの感じ方というか舞台からやってくる熱量の高さがとてもすごくて、この人ほんとなんなんだろうって思いました。


2.パイ=利風がしたかったことは

ここで考えたいのは、なぜ、パイ=利風は最後、晴明の感情を奪ったのだろうか、ということです。

まずはパイのことを振り返ってみましょう。フーリン一族の中で恐らく元々力を持っていたパイは、自ら説得したのか実は担ぎ上げられてしまっただけなのか、は想像するしかないけど、一族の者たちに自らの命まで託されて、妖達が駆逐される前に人間を支配することを目指す。
ここから感じられるのは、パイはとても「孤独」だったということ。
タオがパイと付き合っていた頃のことを話すシーンで、「パイは私を見つめているんじゃない、瞳の中に映る自分を見ているんだ」というセリフがありましたが、それもまさにパイが孤独であったことを示している。
パイは誰かと対等に何かを感じたり行動したりすることはきっと今までなくて、いつも自分がひとり上に立って物事を進めてきた。見える景色が普通の人と違うからこそ、常に孤独を感じてきたのでしょう。



次に利風のことを振り返ってみましょう。利風については回想シーンと周りからの評価しかないので難しいですが、何となくパイと近い感情を抱くこともあったのではないかな、と想像します。
利風は陰陽師の本家である賀茂家の跡取りで、しかも本人も優秀。自分と同じ景色を見ていると感じるのは、恐らく晴明しかいなかったのでは無いか。
なのに晴明は自分は傍流だからと1歩引いて下から見上げようとしてくる。
子どもの頃からふたりは兄弟同然だったと言っていたから、晴明が立場を弁えて1歩引くようになったのは恐らく大人になってきてからじゃないか、と考えると利風は成長するにつれて、「孤独」を感じるようになったのではないかと想像されてしまうわけです。

晴明の「及ばずながらな」に憤って、自分と同じ景色を隣で見続けろと要求する利風に、晴明は任せておけと応えるけれども、再会は叶わなかった。(最期のシーンは除く)


利風が大陸でパイと対面した時にこの「孤独」に共感したとかそういう話ではなくて、利風がパイに身体を乗っ取られながら逆に取り込んで、二人がしばらく同居しているうちに、そういう「孤独」の感情が絡みついて増幅することもあったんじゃないかな、と妄想するわけです。

「孤独」が増幅すればするほど、パイは狐霊神への執着を増す。つまり更に異形のものになることで、逆に孤独を深めようとする。
「孤独」が増幅すればするほど、利風は晴明への執着を増す。だからこそパイを倒すことができる。


あと、パイからしてみれば、利風と晴明の関係が無意識のうちに単純に羨ましく感じるだろうし、利風として生きて晴明と対等に戦ううちにパイ自身も晴明に執着した部分もあったのではないか。


利風の晴明への執着と、パイの利風×晴明への嫉妬が重なった時、パイ=利風が晴明の感情を奪うという行為に繋がったんだろうな、と想像します。
パイが感情を奪う直前に、利風と晴明の美しすぎる友情が示されている。これでパイ=利風の感情が決壊してこの行為、というわけです。


えーと。
まとめると、男の三角関係物語ということですか?え??それ狙ってます?狙ってますよね???

そゆの全く興味なく生きてきた人間なのに、なんかその辺すごく擽らされてしまって、、、よくない。笑

中島さん!あざーーーーす!(タオボイス)




ここで晴明自身についても振り返ると、パイや利風とは全く違うことがわかる。

晴明が見てる景色も普通の人とは違う。でもパイや利風とも多分違くて、上からではなくて俯瞰で物事を見ている。(どっちも上からと言えば上からだけどこの二つは全然違う)

晴明は自分がどう思われるのかを先回りして、自分が生きやすいようにコントロールする。
狐の子だと噂を振りまいたり、おどけて見せて相手との心の距離をすぐに縮めたりして。

自分が人と違う世界を見ていることに気づいていながらも、その上で自分も相手もコントロールしながら色んな人との関係を築いていける。だから晴明は孤独じゃなかった。


パイ、利風と晴明との違いは、孤独か孤独じゃないかにあって、それはイコール生き方のスタンスの違いとも繋がってる。

そして中村倫也ファン的に最も熱いのが、その晴明の生き方のスタンスが本人とも重なるということ。当て書きの次元が高いよね?

はい、晴明については3でも書くのでこの辺にさせて頂いて、何はともあれ、尊い三角関係を描いてくださり本当にありがとうございました!!!(結局それで締めるんかい!)


3.最後の晴明のセリフPart2

こちらのテーマは前回の感想文でも書きました。
前回のブログでは、感情を無くしても何故涙を流したのかはよくわからないけど、晴明の身体に染み付いたものや記憶が涙を流させたのではないか、と書きました。

今回大阪で2回観劇して、さて結論が出たのかと言いますとはっきりとは出ていないという感じではあるんですが、新たに感じたこともあるのでそれをつらつらと書いていきます。


2のところでも書いたように、晴明は孤独ではなかった。
感情を奪っていったパイに対して、「あの男は最後までわかっていなかった」というセリフを口にするんだけど、2での妄想を踏まえると、パイに対してだけではなく利風に対しても言っていたんじゃないかと感じます。


妖あってこその都だと、式神道満さんに2度も言わせていた晴明からわかるように、自分や自分の利権が関わる範囲以外にも、晴明は広く皆の幸せを願って生きてきた。でも無理してるわけじゃなくて、自分がやりたいことをしている。
だから晴明は孤独じゃない。

元宝院様みたいに晴明のことをよくわからない奴だって思う人も沢山いると思うけど、それでも頼りにされたりしている。


この文章を書きながら今ふと思ったのが、倫也さんのエッセイ「THEやんごとなき雑談」の評で、「利他」というワードがあったこと。

晴明も非常に利他的な人なんだ。そうだ。



この舞台はコロナ禍だからこそ、中島かずきさんが描きたかったことなんだろうな、という何となくの感想は初回の観劇の時からあったけど、うまく言語化出来てなかったんです。

でもこの文章を書きながら、やっとわかりました。「利他」について表していたんだな、と。


感情を無くした晴明のセリフをここに引用します。

喜怒哀楽。僕の分まであなた方が泣いて笑って悲しんで喜んでください。僕はそれを見る。精一杯生きるあなた方を見ることで、僕も人である自分を保ち続ける。それが僕が護ったものですから。

(出典:「狐晴明九尾狩」P198 中島かずき 論創社)


つまり私が言いたいのは、利他的な晴明ならば、周りの大切な人たちの感情を見ることができれば十分だ、という結論だったのかもしれない、ということです。
それは孤独じゃない晴明だからこそ、できること。

そしてこれはものすごく妄想ですが、最後の流れ星はこの晴明が心の中で出した結論に対する、利風の返事だと晴明は受け取って、それに対する涙だった。

ここでの利風の返事はもうほんとにめちゃくちゃ妄想なんだけど、お前はやっぱりおかしなやつだなって笑ってたんだと思います。はーー!妄想の余地が広い!尊い


大切な人たちの喜怒哀楽を見ることで、それさえも自分の感情に取り入れてしまえる、そんなファンタジーに繊細な人物が最後描かれたのでは、と感じました。



ということで、私の中ではこんな結論です。結論はっきりとは出てないってさっき書いたのは、これは私の完全なる妄想だからです。笑

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~~あとがき的なやつ~~

2回目だったから簡潔にまとめるつもりだったのに結局5000字超え…。笑
いやー、これマジで最高な作品です。解釈の余地がどこまでも広がる。

本文中には入れる余地なかったんだけど、孤と狐って漢字似てるなーって思いました。思いましただけです。笑

あ、あと今回の記事で「パイ=利風」って書いたのは、私の中の解釈では感情を奪ったのはパイと利風の二人の共通の意思だったから、と思ったからです。

この辺が我々の心を擽るポイントだよね。笑

この擽るポイントに絞って今回の記事は書いてしまいましたが、笑えるところも多い良質なエンタメ作品で、とってもとっても楽しませてもらいました。
本当にありがとうございました!


千穐楽まで、どうかご無事で!
急急如律令!!!