中村倫也を語りたい

中村倫也ファンによる中村倫也ファンのためのファンブログ。倫也さんのことを中心に書いてく予定。予定は未定。

ドラマ「美食探偵 明智五郎」最終話感想文【明智の絶望と希望】

こんにちは。
ついに最終回を迎えた「美食探偵 明智五郎」。これぞ最終回という一気に諸々を回収していく回でありながら、普通のハッピーエンドでは無い終わり方でもあり、胸の中に色んな感情が生まれました。出ている役者の方々、そしてやはり倫也さんがすごかった…。

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まずは概要から。

【概要】
ドラマ「美食探偵 明智五郎」

脚本:田辺茂範

出演:
中村倫也明智五郎
小芝風花/小林苺
小池栄子マグダラのマリア
北村有起哉/上遠野透
佐藤寛太/高橋達臣
富田望生/桃子
武田真治/伊藤・シェフ
志田未来/茜・林檎
仲里依紗/みどり・れいぞう子
武田玲奈/ココ


原作:東村アキコ「美食探偵 明智五郎」
集英社ココハナ」連載

主題歌:「Time」宇多田ヒカル
youtu.be
※フルバージョンの配信がスタートしております。
各々のアプリ等でDL出来ますのでご確認を。


最終話はあらすじ書くの大変なので省略します!笑

公式さんのあらすじはこちら。
最終話ストーリー│美食探偵 明智五郎|日本テレビ


※本日もネタバレしかありません

本日の注目ポイントは次の3つ。

  1. 第8話とのつながり
  2. 明智の絶望と希望
  3. 苺の不変さ



1.第8話とのつながり

今までの話を回収した最終回だったと冒頭で書きましたが、第8話とのつながりも面白かったなと思いました。

第8話のラスト。明智は自分の命を賭してまで、マリアと共に奈落の底に落ちていきました。結局どうやって生き残ったのかはよくわかりませんでしたが笑
(最終話でシェフが飛び降りるならまたこいつの出番かなって命綱?的なもの持って言ってたからあれを使って生き残ったって一応説明してくれてましたね…いやそれでも全然トリックわかんないけど。笑)

マリアからすると、明智は自分と死ぬ覚悟で一緒に飛び降りてくれたという思いがあった。
でも明智が飛び降りたのも、賭けではあるけど生き残る勝算があって飛び降りたんだと思うんです。マリアがここで自ら死は選ばないだろうという予測の元に。
(マリアにとっても明智にとっても共に飛び降りることにどんな意味があったのかは全然わからないし、落ちた後二人にどういうやりとりがあったのかも全く想像つかないけれども。笑)

そして最終話のお茶菓子の選定会でマリアが仕掛けた、ロシアンルーレットの毒入りお茶菓子。
マリアは明智に「あんな無差別な方法では僕も死ぬかもしれなかった」と言われ、「ううん、あなたは死なないわ。……あなたが明智家の家紋を象ったものを選ぶはずがない。それでももしあなたが桔梗を選んでしまったら私も死ぬつもりだった」と答えます。
これはマリアの、明智の命と自分の命を使った賭けで、半年前に自分のために命を賭けてくれた明智にお返しをするためのゲームだったのかなと思いました。
(マリアってこういうの好きそうかなって。でもこれが明智の心が離れた1つ目の要因に?)



2.明智の絶望と希望

最終話が終わってドラマ全体を振り返ってみれば、明智は常にマリアを救おうとしていたのだな、と思いました。
そして、山小屋で明智が自分の過去の絶望について語った時、マリアファミリー達の悩みの芯にあったものとなんて近いのだろうか、と驚きました。
(このシーン、急に舞台を見ている様な感覚になり、上手く言えませんがこれが中村倫也って役者なのか!と思いました。まだ生で舞台見た事ないので早く見てみたい…)


本当の自分を、解き放つべき

第1話の時点では、明智は自分がそうあれないことの裏返しとして、マリアには自分らしくいて欲しいと願ってそう発言していたのかなと思います。


でも明智には、自分らしく生きてていいんだと思わせてくれる、ちくわの磯辺揚げを作ってくれる苺という存在がありました。
(明智のちくわの磯辺揚げ発言とそれを受けたマリアのは?という表情のインパクトが強すぎてTwitterのトレンド入りまでしましたが、これは決してギャグではなく明智と苺の間だけに通ずる素晴らしい愛の告白だったと思います。苺は聞いてなかったけど。泣)


だからこそ明智は、シンパシーを感じたマリアを僕が救わなくてはと思うようになったのではないかな、と思います。

こう書くと勘違いさせてしまいそうですが、明智が同情でマリアに接していたとは思えません。

明智は山小屋で、マリアの殺人を"美しい悪"と表現していましたが、自分が自分であることを体現するために殺人を繰り返すマリアにどこか惹かれてしまっていたのでしょう。明智自身は自分を解放できないでいたから。


とはいえ、それが許されることではないのはわかっていて、どうにかマリアをそこから引き上げようと、第1話から明智はずっとマリアに救いを差し伸べ続けてきました。(単に警察に差し出すだけでは、救いとは言えない…んでしょうね。)


でもお茶菓子の選定会での殺人と、何よりも苺に手をかけたことは、到底美しいとは言えないものだった。あそこで発せられた明智の絶望とは、苺の死ではなく、マリアに対してだったのだろうと思います。
(明智は苺をソファに寝かした時には、トリカブトの毒が誰かにすり替えられてたと気づいていたから)

明智は、もう自分ではマリアは救えないと絶望するけれど(苺を大事にすればするほど、マリアを救うことが出来なくなるから。そもそも二人共なんて欲張りなのよ明智!気づくの遅い!笑)、希望はあると言ったのは、マリアファミリーの中にトリカブトの毒をすり替えて、マリアの殺人を止めようとしてくれた人、つまりシェフがいたからです。

明智が林檎やシェフやれいぞう子を救おうと語りかけていたのは、すべてマリアを救うため。本人たちを救おうというのももちろんありますが、1番はマリアを救うためですよね。

それがシェフには通じていた。あのあと上遠野達が来なかったら、どういう展開になっていたのか……
そしてシェフの最期、武田真治さんの演技がかっこよすぎましたね……


そして、マリアと明智の崖でのシーン。

マリアは、もう明智の心が自分には向いてないとわかっていた。わかってはいたけど、敢えて飛び降りる前に、「もう一度神様が奇跡を起こしてくれたら(崖から落ちても助かったら)私を愛してくれる?」と聞いたのでしょう。

でも明智は、何も言わずに表情だけで感情を伝えた。上遠野達の登場により、どうやってマリアが崖から落ちていったのかは描かれていません。
……明智のここでの感情は、私も上手く受け取めきれていません。だから何も書きません。
でも、ここをセリフなしで表情だけで演技をした倫也さん。表情だけで、こんなにも何かを訴えかけてくるなんて、すごい役者さんだと改めて思いました。


そして、飛び降りた後、マリアが海の中で見た夢。
マリアファミリーと明智が、それぞれの好きなものを作って食べる夢。何でマリアはこんな夢を見たのか。マリアはこのささやかな幸せのために、こんな殺人鬼になってしまったのか……
いや、違うでしょう。死ぬ間際にマリアも思い直したのかなと思います。明智が山小屋で涙ながらに語った生きることは食べることだという訴え、そしてシェフが自分の身代わりで死んでしまったことが大きかったのかなと…。



3.苺の不変さ

第2話、第8話でのブログでも書きましたが、苺は明智の傍に居る絶対的な善です。犯人に対して必ず正論を吐いてきました。どんなに無謀だとしても必ずです。それはマリアファミリーに山小屋に連れてこられたあとも変わらなかった。
苺は林檎になんでここに居るのかと問い、そして最も熱くなったのはシェフに対してでした。同じ料理人として、思うところもありつつ、マリアファミリーの用意した最後の晩餐が、本当に明智との最後の晩餐だと考えた時に納得いかなかったのでしょう。

この苺の訴えは初めてちゃんと彼らに届いたと思います。そもそもシェフはその前の森の中での明智の呼びかけに反応し、すでにトリカブトの毒を入れ替えていましたしね。

苺は最初から最後まで、強い善で居てくれた。明智やマリアファミリーに何を言われてもずっと。明智が最後まで明智としていれたのは苺が傍に居てくれたからですよね。
そして、それを明智のお母さんがわかってるところも好きです。第6話と最終話の間に、明智のお母さんの、明智と苺の関係への認識も変化していましたね。




最後に、このドラマの終わり方についてです。

苺は明智のあの涙ながらの想いを聞いていない。明智×苺過激派の私としては、2人の熱い抱擁くらいは見たかった!とも思いましたが、そうはいかないところがこのドラマらしいなとも感じます。


事件後の事務所での明智の姿を見て、明智はマリアを救えなかったことを引きずっているのかなと感じました。そして、苺は苺でマリアへの恐怖がぬぐえないまま生活している。二人はその後マリアの話を一切していないとのことでしたが、マリアという存在は二人にはあまりにも大きすぎて、あっさり消化して二人で幸せに暮らしましたとさ、とはならないよな、とも感じました。

ただ、明智が探偵をやめて、フレンチの弁当屋を苺と考えているところがすごく好きでした。
明智は苺の料理に救われたけど、マリアのことは救えなかった。でもこれから苺の弁当屋を共にやることで、自分も誰かを救ったりしたい、と前に進もうとしてるのかなと思いました。


一貫して"食"をテーマにしてきて、二人の最後がこうなのであれば、これはこれで好きな終わり方だなぁと思います。


そして、ほんとのラストのココちゃん…!!!
こういう終わり方も私好きです。笑



とにもかくにも、さいっこうなドラマを届けて下さり、ありがとうございました!


第8話の感想文はこちら。
seeen-tomoya.hatenablog.com


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~~あとがき的なやつ~~

最終話は超長文になってしまいました。笑

第1話から最終話まで、毎話毎話同じ体裁で感想文を書いてきました。この作品は感じたことを題材にしやすい作品だと原作を読んだ時に思ったので、ドラマが始まる前から1話ごとに感想文を書こうと決めていました。あと、あらすじを自分なりにあの文量にまとめるというのは中々に難しかったけど、文章を書く練習にはもってこいだったなと思います。


そして、この作品は押し付けがましい演出や演技も無くて、見終わってから考えさせられることも多くて、感想文を書くのが本当に楽しかったです。

美食探偵の関係者の皆々様、素晴らしい作品を届けて下さりありがとうございました!


見逃した方はこちらから。
視聴期限にはお気をつけください。

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